第2回科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会(2011年8月1日)議事要旨

・議事は(1)基盤的研究・人材育成拠点について、(2)「大震災対応」調査研究の進捗状況について、(3)政策課題対応型調査研究およびデータ・情報基盤整備について、(4)その他。

(1)基盤的研究・人材育成拠点について
・スケジュールとしては、8/9に第三回の推進委員会を行い、ここで議論したものを基本方針として決定し、8月後半から募集をかけたい。基盤的研究・人材育成拠点整備事業の整備方針(案)として、拠点形成の理念と推進方針、「政策のための科学」の担い手としての育成人材像、人材に求められる育成すべき能力、期待される人材育成のありかた、「基盤的研究・人材育成拠点」の基本構造と機能、拠点間の連携について、拠点整備に向けた検討の進め方、および評価、を説明。(斉藤)
・第1回の議論を踏まえて、事務局と議論し、今回のようなものを提案させて頂いた。何か質問があれば。(黒田主査)
・まだ議論がここで進まなければいけない部分がたくさんあるんだろう。しかし、それはそれで進んでいくところが多少心配。こういう段階で進んでしまうと、枠組みが進んでしまう。これがまず第一点。また、人材育成という形で各大学が公募形式で応募してくると、各大学は少しでも拡大という観点から積極的に応募してくるだろう。人材育成として支援できるのがどこまでかという範囲を明確にしておかないと、結局はその大学の他のところにひずみが行く可能性がある。「専門的観点から人材育成」と強調されているが、大学院としてもっと基盤が整えておかれる必要がある。その部分をどこが支援してくれるのか、その支援がないのか。ここのところが非常に不明瞭。副専攻という形でやる場合には負担が軽減されるが、このために専攻が設置されるとなると重大になってくる。(相澤)
・仰るように、まだまだ詰めなければいけない点が多々あるが、基盤形成を担っている中核拠点というのはきちんとした専攻を持って、そのための基盤を持っているところに行く。副専攻型や領域開拓型は、プログラムのところを支援するのかなと。このプログラムで考えなければいけないのは、アカデミアも行政も縦割りになっていて、そのリンケージが希薄だったということがある。大学の人材育成にネットワークによる領域横断的なもの。各大学に閉じるのではなく、日本全体で大学・政府機関・海外機関等との連携も支援する格好で幅広いネットワークを作っていくことが今回の大きな特徴。ただ、そのなかで基盤がどうなるのかということがおろそかになってしまっては困る。(黒田主査)
・今のような議論はよく理解できる。この内容というのは、企業の中で議論していることでもあり、こういう人間を育成しなければならないというのは共通認識。実際に博士課程に求められるのも同じ。つまり、政策のための科学に特に要求される能力ではない。ここで特に要求される能力はあるのか、ないのか。基本的には対象の特殊性が特徴だ、というのであればそこを強調して公募すべき。ここでもう一つ引っかかってくるのは、リーディング大学院が公募に引っかかっていて、第4期基本計画で言われているように社会的課題解決するようなイノベーションを牽引する人材を育てるというもの。そちらの方はある意味大部分がイノベーション、具体的な各分野を持っているので、対象としてはここから大部分はそれるが、なかでも一つ、オールラウンド型とこれが被ってしまう。大学サイドとしてはどういうふうにアプローチしたらいいか分からなくなってしまう。いずれにしても、政策のための科学で特に要求される能力を特徴的に表現できるか。それも含めて、政策のための科学の内容をもう少し特徴的に言わないと。従来の話からあまり出ない気がする。(有信)
・外縁も含めて3点ほど。こうした試みは似たようなものがうまくいっていない。1970-80年代、米国で発展したのは科学技術が発展したからであり、ニーズがあれば回る。このプログラムも総合拠点の大学が中心になって他と連携する、発表の場をきちんと作ることが大事。領域の拠点は、それぞれのディシプリンでは発表の場がない。オリジナルのディシプリンのコンテクストに戻ってしまう。インテグレーションが起こせない。発表の場を形成していく、これを提案の中に入れる。オールジャパンの一例として記載してもいい。2点目として、人材をどう育てるかも重要だが、彼らのキャリアパスが非常に重要。このプログラムが実行されるためにはポリシーミックスが重要。学会で政策のための科学とつながるというなら、学会に対する支援事業の中で、こういうコンテクストが活きるように調整してほしい。同様に、政府・役所機関にもないと、これは実にならない。3点目、ヨーロッパの大学が様々な政策に対してコミットしているのは、政府のプロジェクトを請け負っているケースが多くある。SPRUやPRESTとか。EUやOECD、その相当部分の責任を持たされる。3年も経てば学生がすごく立派になる。政府の方でも必要だというメッセージを出すことが大事。(桑原)
・前回も言ったが、日本ではトップドメインから考えるということがない。それが一つ目。もう一つは、政策のための科学からちょっと離れて、科学技術イノベーション政策、これを何のためにやるのか。世界人類のためだけでなく、我が国のためにやる、これがなければ続かないのでは。国民のアクセプタンスが要るのでは。そういうのを入れてないのではないか。「1.拠点形成の理念と推進方針」の前半はその通りだと思うが、政策の立場から考えれば現代の問題点であって、科学技術にはいろんな面があり、先進国では社会的課題があり、行き詰まり感があるところで、どういった政策的解決を見つけるか。政策でも南北問題がある。コミュニティをいかに形成するかというところで、我が国、先進国の施策がどういう答えを出そうとしているか。最初にちょっと言ったが、我が国の競争力にどう貢献するか。科学技術政策の根幹を担う人材であれば、単に文科省がやろうとしている人材、産学連携人材、ベンチャー人材等々とちょっと毛色の変わった人材程度になってしまう。科学技術イノベーションは、我が国はどういう態度でやろうとしているのか、そのための政策のための科学だと思う。そこを明確にしないと、育ってくる人材も魅力でない。日本はものすごく人材育成に力を入れてくる国だといってもいい。だが、そこではものたらない何かがある。そこの哲学を示すと収まりがつく。(野間口)
・そもそも科学的な知見を政策に結びつける、そこを合理的に行うことは難しい。非常に距離の遠い問題。だから新しい研究分野だというのかもしれないが、何を教えるのだろう。下手をすると、周辺の技術的なもので終わってしまう。つなぐためにどういうことをすればいいか、そこの核心に迫るようなものがないと、という気がする。(小林)
・野間口委員が言ったように、大学で文理融合などは非常に難しい。一つは科学技術に対する文系との距離が少しある。哲学、歴史など、本当を言うと接点はあるはず。そこがなかなかうまくいかない。そこをどうやってやるかが政策のための科学でも重要。だけど現場の先生だと「何なの」という反応。本当を言うと、もうちょっと助走期間があることが大事ではないかと思う。政策との中間的な人材をつくりたい。ここのイメージとしては、学部卒の人ができるかなという感じ。修士の方でもできるか。それはやっぱりある程度学歴はあって、今までなかったような深い教育を受ける、という人でないと、安心して入ってくるのは難しいのではないか。ある程度の年齢、実地の経歴のある方で、というのが私のイメージ。教える方が無理。人材がいない。その中で、分担して、お願いするしかない。まず大学の中でどうやるか。5年か何年かして、教えられる先生が出てくる。もうちょっと考え方を見直して。(郷)
・2つぐらい。1つは、これがサポートすることによって、博士何人を出すのか、はっきりしていないものだから、非常にふわっとした印象。これはディシプリンを確立しながらやるのではなくて、走りながらやる。その中でリアリティのあるものをやる。第3期から始まって、科学技術基本計画を作るときにエビデンスベースでやられていない、ということで調査をしてきた。これを踏まえて第5期どうするか。こうしたハイレベルな視点だけではないが、それをすると大学の学内のドライビングフォースが出てくる。もう一つ、混乱を生じる可能性があるのは、拠点形成、公募型なのか、アイデアだけ貰って最後は推進委員会の方でやれ、となるのか。かなりタイトな募集スケジュールになっているが。基盤のところは歴史観なども含めるのだと思うが、それに乗っかった上で、学内でプログラムを走らせるとなると、大議論をした末に社会主義的に決まってしまうのはいかがか。スケジュール的にも第5回、第6回、何を決めていくのか。第3回では審査基準何を決めるのか、プラクティカルだが重要かと。(有本)
・各委員の意見で一番心配しているのは、政策のための科学で何をやろうとしてるのか、人材育成で何をやろうとしているのか。その中で、公募形成まで進んでしまうのは危険であろうということだった。諸外国で科学技術政策の科学をやろうとしている。我が国も真似してというわけではないが、日本で科学領域での進め方で一番心配しているのは、日本では諸外国とちょっと違った各領域、各年齢層などの壁があって、それで政策のための科学が滑り出せないのではということがある。先だって、Science of Science Policyという本が出た。ハンドブックと言っているが、中身はいろんな学問分野を持った並列のもの。それをどうやって作って行くか、いろんな人で議論をしようとしている。マーバーガーいわく、科学技術イノベーションというは単なる科学ではなく、最終的にはimplementationが問題だと。ディシプリンベースの何かを作るではなく、社会改造を含めたimplementationをどうするか、これを方向と、何をするか日本なり社会が抱えている課題は何か。吉川センター長とも議論して、科学者自身がcuriosity drivenだけではなくて、社会の方に向けるとすると、社会的課題を見つけないと。また縦割りの科学になってしまうと、何のためにやったのか分からなくなってしまう。野間口委員の仰ったことだが、アメリカのSciSIPでは国際競争力と雇用の確保、明確に言っている。政策をどうやって実行していくか、科学技術の知見をどう使うか。課題を絞るときにそれを見つけられる人材も大事。これから議論していく。(黒田主査)
・だいぶ理解が深まった。要求される人材のところで言うと、黒田さんの言われたレベルで整理すると方向性が出てくる。もう一つ、人材育成、ここで期待されている人材を育成するということと、新しい学問的なディシプリンを作るというのと、両面ある。ここを明確にして進めていかないと、今までの科学のような分析的知性の方向ではなく、実際のイノベーションは特定の目的のために新たに統合されていく、新しい構成的知識を作り出していく。ここのところを考えていかないと。産総研でもSynthesiologyという試みがある。(有信)
・冒頭申し上げたのは心配していることだけだった。その心配はこれから議論をしていく上で解消していくということを了解したとして話したい。公募の内容、3ページの人材育成像。長くて分からない。ふつう「こんな未来が開けるんだ」という明確な旗印となるもの。ここでは「今、科学技術政策に問題点がある、だから必要」と言っている。人材育成の目標にするのは大変なギャップがある。黒田委員が述べられたことは人材育成の目標ではない。それをいきなり育成される人たちに像としてぶつけるのは教育システムとしては問題であろうと思う。そこを分かりやすく、かつ、若い人たちに希望が持てる表現に。もう一つ、人材育成のプログラムであるから、専攻なり、プログラムであれば設置指針をはっきりしていく。教育プログラムとしての佇まいをなんら求めていないのでは。先ほどの基盤的なところどうするのか。教育システムという立場で捉えられていないのではないか。「各大学が責任を持って」という表現になっているところこそ、最も重要になっている。そこを強化してほしい。それから、若い人たちの希望と関連しているのは、キャリアパス。ここで書かれているのは「キャリアパスの確立が必要である」ということで、何の明るい未来も描かれていない。ここのところも意識して頂きたい。プラクティカルに公募の要領であるから、この3点、しっかりしたものが出ないと、文科省の誘導でするにはあまりにも、と思う。(相澤)
・今まで議論してきた中身を紹介したい。今回、提唱している人材が分野としても幅広いし、どのくらいの割合で政策、研究、マネジメントに行くのか、ということがあってどこをどういうふうに狙っていくのか。相澤委員に長すぎと言われたところは、政策で食べていくのか、研究・論文で食べていくのか。もう一つの軸として、科学技術イノベーションの分野を中心にやっていくのか、経済学を中心にやっていくのか。そういう意味で、3つの軸があって、そのマッピングで沿ってやっている。①は政策で食べていく。②は論文だが、科学技術イノベーションへの関与の度合いによって変わる。この程度の範囲で、深みでというのを書き分けられるようにしたい。また、修士や学部卒の話で、この分野で極めて頂く方も想定しつつ、普通に経済学なり工学なり学んでいく方が、途中でcertificateなり、こうした講義を学んで社会に出て頂くことがこのプログラムの目的の一つでもある。幅広く対象にしている。拠点の設置も、総合拠点はドクターを取って、専門の学位を出していく必要。一方で領域開拓拠点は、もう少し幅広い裾野の拡大を目指していて、なるべく多くの方々に取って頂いて、ということを想定している。それらに加えて、実践的なインターシップや、企業の方と膝詰めで議論など共通のものをやっていきたい。基盤的研究というのは何かを議論していく中で、今まさに政府が困っていること、今後こうしていくべきということを、基盤的研究のなかでやっていきたい。次年度以降について、基盤的研究をどのように進めるか、実際的なプラクティカルな人材育成をテーマとしていきたい。(斉藤)
・今の話でちょっとよく分からなかったこと、難しいと思ったのは、何によって学位を出すのか。学位を出すとなると、オリジナルなディシプリンに戻らないと出せない。結局もとの背景のディシプリンのところで出すとなると前に進まない。ここの構想、考え方を明確にして。(有信)
・スケジュール的には8月9日には公募の内容を決定しなければならないというとで、先程来問題点が出てきているということと、今回のこの時点における公募というのは、これから進めていく一つのステップだと聞き取れるが、もしそうならば、これが本格的に進むまでに至らないまでも、フィージビリティスタディ(FS)という性格のものにして、次年度本格的にするというのは現実的な対応としては可能ではないか。(相澤)
・スケジュール感としては今年、公募という形でアイデアを頂いて、そこからセレクトして、来年1年をかけて各プログラムを練りながら来年度中に学生を募集して、25年度からスタートというスケジュール感。そこで今、FSというやり方にしろ、何らかの形でアイデアを貰い、形を作るということを明確にしないといけない。構想を実あるものにするというのは来年1年かけてやる。秋口に募集をかけないと。FSを兼ねた議論をさせていただければと思うが。(黒田主査)
・構想というのはどこまでか、非常に曖昧なようだ。(有本)
・私の理解だが、11月下旬、12月初旬に第7回で拠点を決めるのだと思う。10月の最初に頂いたプロポーザルは、こういう形でネットワークを深めた方がいいなど、絞っていく方がいいのだろう。12月の始めまでには拠点を作りたい。そのプログラムがどれほど実効性があるか。拠点間で連携、ネットワーク、共同プログラム開発。NISTEP、CRDS等との連携もありうる。拠点同士の協議会も進めて頂いて、組み合わせて来年の秋口までに固めて頂くというプロセスかと思う。今までのCOE等とはだいぶやり方が違い、何回か「日本全体として」という言葉が出てくるが、政策のための科学をやるためのエビデンス、データとか、それを踏まえて提案するものとか、NISTEP、CRDS、RISTEXでやっていくので、これは単なるどこかの拠点形成ではなくて、全体プログラムを設置指針で決めて、その中で新しいデグリー。また、他のデグリーで、副専攻として関わるというのもあるだろう。(黒田主査)
・本事業については、科学技術政策をより合理的に進めて行くための科学の合理化と、政策を合理化していくという車の両輪の認識を持っている。政策側として、役所の中で議論できるが、科学の合理化については、審議会の議論だけではできない。大学からこういうことを考えている、こういうふうに噛んでいきたいと思う。これまでは役所側から考える構想だったが、そろそろ大学側から提案を頂いて議論するフェーズなのかなと。FS的にまず幅広く公平に提案を頂いて、ここで中身を詰めていって、その後も引き続き新たなスキームを入れて続いていく。ただ、今年度からの事業として、志ある大学からの提案をまずは受け入れていく。(斉藤)
・よろしいですか。たぶんよろしくない、ということかもしれないが。あともう一回議論があるので。(黒田主査)
・一つだけ言葉尻ではあるが、政策のために科学が何ができるかと仰ったが、政策のための科学という言葉で理解しているものが違う。ここでは、政策のための科学を追求しようということで、科学という概念をどう捉えるかによるが。科学的に政策が立案される、そのための人を育てる。政策と科学が全く別物として捉えるといけない。(有信)
・仰る通り。ただ、今までは政策が合理化されていないということで、これから良くしていきたいということ。(斉藤)
・今度公募するのは、拠点がどのくらいの予算規模なのか、その他のところはどの程度の予算規模か。FSと言ったのも、予算規模によって変わるのではないか。資料3を見ると、いきなり費目とか、設備備品とか話が出てくる。今年を作るという補助金はどの内容のものを支援するのかというのが出てこないと、先ほどの議論が成り立たない。(相澤)
・日本の予算制度の欠陥ではあるが、このプログラムに限ったことではないが、日本の科学行政の大問題。ぜひ、これをきっかけに議論になれば。(黒田主査)
・ぜひ次の回にはスケジュール、2〜3年先までないと。また、この推進委員会は何をやるのか。介入的になる。教育拠点なものだから、どこかでオートノミーでリリースすることが必要なのでは。(有本)
・次回、これから難しいオペレーションになるが、最後に拠点を選定するわけだから、アイデアをつまみ食いして他の大学に持っていくのか。個人提案でPO/PDがコントロールするのはある意味当たり前だが、機関提案である。フェアネスをどう確保するのか。(桑原)
・事務局が考えることでもあるが、推進委員会全体が考えることでもある。納得いく形を作っていきたい。今までの議論を整理して、次回の提案にできる限り反映させたい。(黒田主査)

(2)「大震災対応」調査研究の進捗状況について
・桑原委員より資料5の説明。

(3)政策課題対応型調査研究およびデータ・情報基盤整備について
・桑原委員より資料6の説明。
・大変興味がある研究のように思うが、たとえば2ページ(3)①「政府R&D投資等によりもたらされたイノベーションによる社会的効果の定量的指標の抽出と事例研究」。日本の統計だけでは、なかなかできないのでは。外国のGDPの増加に日本の産業が貢献しているところが明確に押さえられていない。世界の経済発展に貢献している割合がものすごく多いと思う。よく出口のところをしっかり評価しなければ。こうした調査研究や基盤整備が一番基本になっているでは。ときどき聞かせて頂きたいと思う。(野間口)
・産総研でも成果についていろいろ研究しているということを聞いたが、今後も勉強させて頂ければ。(桑原)
・今日の議論はここまで。次回の予定は8月9日。(黒田主査)

文責・吉澤剛