第3回科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会(2011年8月9日)議事要旨
・議事は(1)基盤的研究・人材育成拠点について、(2)「大震災対応」に係る取組の進捗状況について、(3)公募型研究開発プログラムについて、(4)国際フォーラム開催報告、(5)その他。
・事務局より異動のお知らせとして、斉藤の後任として山下が政策科学室に着任した。
(1)基盤的研究・人材育成拠点について
・前回、頂いたコメントを事務局と検討して、審査にあたっての考え方などについて案を作ってみた。(黒田)
・前回、推進委員会で公募に関してご指摘を頂いた。資料1はご指摘頂いた項目のうち、三点にまとめた。1. 人材育成拠点における研究、教育の方向性について。2. 推進委員会と大学との関係について。3. 今後のスケジュールについて。拠点整備委員会(仮称)の設置。(斉藤)
・事務局と相当議論して作ったものであるが、いくつか補足をさせていただく。一点目。政策のための科学というものが、既にでき上がったようなディシプリンにはまだまだなっていないという認識を持っている。諸外国を見ても、そうしたところで鍛えられる人材は喫緊の課題となっているが、そうした人材を教育プログラムで作っていくようなところになっているか。諸外国においても時間をかけて作っていかなければならない状況。シングルディシプリンにはなっていないものの、対処しなければならないもの。日本が本当に科学技術イノベーションに対して科学的にやっていたのか。どういう科学性を主張するのか、このプログラムの中でブラッシュアップを重ねていかないと。資料3-2にいくつかのポンチ絵がある。3-2の2ページ目。自然科学と人文社会科学が融合した形で、実践に行くところまでやる。三番目として、いろんなステークホルダーが合意形成、社会システムの変革まで行う。四番目として学融合的なカリキュラムを持つ。産官学、行政の枠を超えたネットワークを形成する。そうした拠点形成をいかにやっていくか。5ページ。人材に必要な能力。ある種のスパイラルがうまく循環して、良くなっていくことが期待される。人材育成の能力として、客観的根拠の抽出、理論化・モデル化。課題の発見・設定。政策立案。政策決定。実施。それを一般的に書いたのが人材育成の内容。プログラムのイメージは、総合拠点と、領域開拓拠点。それらをネットワークで結ぶ。整備していくときにアドミッションポリシーをどうするか、ディプロマのポリシーをどうするか。そういうことを柱において推進委員会としてはプログラム提案を審査していく。ディプロマのイメージは10ページ。総合拠点と描かれているところ。総合拠点は既に政策の科学にふさわしいディプロマを持ったところ。そこにもう一つプログラムを付け加える。もう一方の役割として、開拓拠点。共同プログラムの運用は総合拠点に任せるばかりでなく、運営協議会を通して行う。領域開拓拠点のディプロマに関して、例1、例2のようなあり方が例えば考えられる。例1は、ある領域に特化して、既にある博士号まで持っていて、そこにSciSIPを追加して頂く。それとともに、領域の外にある学部・学科・研究科等々に対してプログラムを追加して、ある種のサーティフィケート、副専攻を得る可能性。例2は拠点として、はっきりとした学位の形を持っていない場合は、共通のセンター方式でプログラムを持って、それぞれの専門を持ちながらサーティフィケートを受けるというものもあるかもしれない。14ページ。運営協議会を形成し、共同プログラムを運用していく。また単位の互換など。最後のページ。CRDSの吉川センター長が提示されたもの。観察型科学者、それに対して構成型科学者、その中から合意形成を経ながら行動者。このサイクル、スパイラルを昇るような形で、これ全体を推進委員会がマネージしていく。資料3-1、8-9ページ。ヒアリングの後、拠点構成大学を決定し、拠点構成大学以外でも、参加候補大学として全体構造への参画を求める場合がある。来年1-3月の間、議論に参加して頂いて、「拠点整備委員会(仮称)」、そのなかで日本の全体的な構成に資するような形でやっていったらどうか。新しい年度24年度から参加する構成大学、参加大学が「運営協議会(仮称)」を合同で設置する。(黒田主査)
・これが進展していったとき、これ自体を測る必要がある。科学がどれだけ進歩したか、人がどれだけ入ったか。政策のための科学を進化させたということは、自然科学で言うピアレビューが必要。ある種の科学の分野のプラットフォームができて、もう一方で、研究者自身の業績が形作られるし、学位にもなる。政策のための科学のプラットフォームがないのであれば、それを作っていく努力を相当しないと。私の関わるところにエネルギー経済という分野があって、関係者にヒアリングをしたが、エネルギー経済モデルをやっておられる方は、経済でもエネルギーでもはじっこのところにいる。結果として研究者として広がっていかない。根になっている学問分野がないところで、政策のための科学として進んでいったときに測れるのかどうか。それをどうやってやるか。話が具体的になってきたので、現状をお伺いしたい。(笠木)
・なかなか難しい問題。自分も経済の中ではエネルギーとか環境をやっているのではしっこの方。ある意味エネルギーは生産要素。労働、資本とか同じレベルで捉えれば、はしっこではなくて根幹。ただ難しいのはエネルギーは科学技術と密接に結びついている。その接点は今までの科学技術と弱かったために経済学として進化させられない。一つの体系になってきたとき、自然科学と人文科学の一つの接点として、何か評価できるようにしていかなければならない。この分野の一つの課題。拠点形成の中でやっていかないと。その意味でネットワークの重要性や、ピアレビューや、学会を作るということになる。自然科学と人文科学が一緒になって評価できるように。政策のための科学は科学で終わってしまってはいけなくて、インプリメントしてイノベーションにつながるようなものにしないといけない。アメリカははっきりと科学をやると言っている。まず科学がどんなものか分かっていないと言っている。STARMETRICSもその一環。(黒田主査)
・当面、どういうプラットフォームがあるのか。(笠木)
・前回、桑原さんも仰っていたが、企業サイドで研究開発の投入をするにあたってどういうディシジョンをするか。どういう技術をベースにするか、一つ、その流れとしてMOTがある。研究・技術計画学会などが携わっているが、ただ、学会として公に認知されているとは言い難い。研究・技術計画学会では企業における事例とか、大学などかなりブロードな範囲でやっているが。そういうプラットフォームを作る努力をやらないといけない。そのときにサイエンスというところのディシプリンをきちんとやるときに、ベースとなるディシプリンをどう決めるか。文理融合といってもサイエンスの方法論が違うから、根底ディシプリンがなかなかできない。(有信)
・そういうところで方針をきちっと持っておかないと、この中で「研究者を育てる」とあるので、研究者コミュニティの中で肩身の狭い思いをする。(笠木)
・肩身の狭い領域にするかしないかは、今までのディシプリンの科学がこれをどう評価するかにかかっている。そこは交流して、シングルディシプリンの力を借りなければならない。どこまで科学者自身が自覚をするか。それが科学者のキュリオシティでもある。(黒田主査)
・一方で、ブリッジ、サポートをする予算、制度を作っていかないと、いつまで経っても精神論になってしまう。その意味で今年の予算に欠陥がある。4つのディシプリンはあるが、それをブリッジするようなフェローシップなどがない。危機感がある。来年は概算要求に入れる。とにかくハードだけ、公共事業のようなところがある。今日は文科省の幹部もいるので。(有本)
・会社で使われるときには、どのディシプリンかは関係ない。たとえば売るものを作るのは、社会で受け入れることが重要であって、単一か共通のディシプリンかは関係ない。逆に言うと、アメリカでサイエンスというと心配ないが、日本でサイエンスというと元に戻ってしまう。できあがったものをきちっと評価できるかどうか。できたロボットが評価されるようなことにしないと。個々の技術は目新しくないが、組み合わせる場合に新しいということもある。構成的に作り出されたものを評価する、そういうディシプリン、設計科学的なものの見方を明確にしていかないと。有本さんが仰ったような活動、人文科学の方法論には近い。(有信)
・人材育成の拠点というのは、あくまでも研究者を育てる人材ということか。ハーバードのスクールでは、ほとんどのところは研究者養成がない。ポリシーメーカー、実務者を育てる。サイエンスというのは純粋な自然科学とは違う。研究者を育てるとすると大変な話になるが、科学的な知見を政策の中に実装する。実装の担い手となる実務家とすると、人材のイメージが変わってくる。そのへんはどうなのか。(森田)
・育成すべき人材像としては、おそらく二つある。イノベーションまで結びつけるインプリメンテーションする人材、片方で、ある種の科学として確立しようという科学者もいてもいいし、たぶんいなければいけない。(黒田主査)
・純粋な研究者を育てようとすると、大学院などは小さくてもいい。そうでないとして大きくして、キャリアをどうするか。ベースとなるような能力を持った集団を作るということか。あまりリジッドなディシプリンでなく、総合医のような人材をつくることも大事。(森田)
・それを認めた上でプラットフォームを作る。(笠木)
・日本でも公共政策学会があるが、いろんなディシプリンの人がいろんなことを言っている。震災対応などでも実務をやることは意味がある。(森田)
・日本の自然科学系の学会の問題でもあるから、そういうところも変わっていかなければならない。(有信)
・医学というのは、実験のできない学問だと思っていたが、今は、実験もできるし、臨床もできる。経済学はそこまで行っていない。(黒田主査)
・繰り返しになるが、分子生物学会でもこういう議論をするのは端パイである。経済学会、機械学会でも同じようなところだと思う。そういうのをサポートするプログラムがちょっとでもあるといい。(有本)
・その意味ではアメリカの方がプラグマティック。(黒田主査)
・前回、助走期間と申し上げたのが、取り入れられて良かったと思う。大学と一緒に作り上げていくというのは今までなく、いい例だろう。(郷)
・選考というのはこの分野が成熟した段階で出てくるんだろうと思う。(黒田主査)
・やはり政策評価というようなことをしていかないと、成果が分からない。ただ日本の中で政策評価が本当にやれるのだろうか。イギリスやアメリカはわりと平気でやる。それがちゃんとできるような体制にならないと、発展性がないなと。(有信)
・政策評価については委員もやっているが、方法論的に確立されていないところと、過剰な期待がされているところがある。現実は膨大な量のペーパーワーク。その結果、ほどほどにいい、というものになる。有効になっていない。GAOなどは方法論をきちっとやっているが、事業仕分けみたいなもの。文科省に言っていいのか分からないが、大学評価も徒労が多い。評価はあまり期待をすると、却って悪い結果になる。(森田)
・経済に関わる評価は、雇用。その点に絞ってどう効果があったか、日本でもやるだろうし、やりようはあるのだろう。(黒田主査)
・事後的にはあるが、レギュラトリーインパクトアセスメントなど事前的にできるか。仮定を置くところは政治的なもの。そこでどう合意を作っていくかというところまで入れていかないと。(森田)
・そういうところまで含めて回すということ。(黒田主査)
・プロセスをきちっと、ということで、いいのだけれども、一方で、申請する大学は学長名で出す。その後、再構成する。個別の大学から出たものをどれだけやるのか。採択されなかった大学から「おかしい」という声が出かねない。全体としてはいいが。(有本)
・12月の時点で推進委員会が総合拠点と、領域の拠点について選ぶ。ただ、それぞれのプログラムの提案として、選ばれなかったがいいアイデアを持ったものをピックアップして、その方を含めてプロセスの中に入って頂いて、どう活かすか。それをやらないとネットワークが広がらないのではないかと思う。(黒田主査)
・一回しか公募しないという意味で、相当うまくやらないと。(有本)
・整備方針と公募要領という形でまとめさせて頂いて、一応公募の段階で審査はこういうふうにやるというのを詰めて、内容としてはどういうアドミッションポリシー、ディプロマをどう考えているか、実効性、費用の使い方、実施などいくつかポイントはあるが。第4回、審査に入るときにこの委員会でもう少し精査して、そのへんはもう一度議論の機会があるだろう。(黒田主査)
・お願いとして、育成した人材がどういったマーケットでニーズがあるのか想定しているか。インターンとか前に議論があったが、マーケットの方に合わせたカスタマイズもあるのかなと。一方的にサプライサイドでいいものを作っても仕方がないので、各大学で配慮して頂きたいと。(森田)
・「修了生のキャリアパスを担保して」ということを「大学の中で」と書いている。(黒田主査)
・まだ日本の場合はポテンシャル。そこのところを開拓して、ということになるだろう。(森田)
・よろしければ私にまとめさせて頂くということでよろしいか。スケジュール的にはお盆開けぐらいになるか。メール等で了解を得て、それが終わってから公募にかかる。(黒田主査)
(2)「大震災対応」に係る取組の進捗状況について
・CRDSより資料7「CRDSにおける『大震災対応』に係る取組の進捗状況」について説明。
・ちょっと補足。特に科学的助言のあり方というのは、科学技術政策のための科学、CRDSも海外調査したり、政策提言にまとめる過程で、この活動はクライアントの多くが政治家や中央政府になるので、そこに行動規範がないと危ういということで、調査をしてきた。2ページ目にあるのは民主党のもの、どうやるのかサイエンティストのガバナンスについて推進調査会が言っていること。これにはいい意味もあるし、ここまで政治家が関心を持ってしまっているので危険なところもある。上手にボトムアップ的にやらないと空回りする。気をつけながらやっている。IPCCもデータのハンドリングでおかしいことをやって、未だにNatureが厳しく指弾している。国連総長まで出てきて、変えると言っている。各国ガイドラインを出して、政府が出したり学会が出したりしている。そういうのを踏まえながらしっかり取り組んでいきたい。(有本)
・ここで言っている規範というのは、従来あるものを調査しているのか。(有信)
・二つある。ホルドレンのところで作って、NOAA。イギリスはベディントン、とは別に緊急のものがある。(有本)
・もともと科学者が持っているものだろう。政治は?(有信)
・民主党にしても、政治はそういうことを言っているだけで、政治側から作ると言っているのではない。(有本)
・アメリカではもともとそういうことがやられていて、日本でも笠木さんなど各学会で倫理規定などを作っている。政治との関わりというところは意識していない。(有信)
・私どもが調べた範囲ではそこまでカバーしていない。(有本)
・今回の大震災・原発事故以降、政府、行政、と科学者、メディアと科学者、の関係について、不具合がたくさん出てきた。科学者がいろんな場面で違ったことを言って却って不安を煽ってしまった。学術会議としても主体的に取り組むべきだと申し上げてきて、ちょうど昨日、今日、第3部会で取り上げましょうということになった。たまたま緊急時のなかで、科学と行政、政府の関係が浮き彫りになったが、実はこれ平時においてもまったく同じ。平時のものが緊急時にもできる必要がある。きちっとした科学者の役割、科学者と行政の関係を整理する必要がある。日本の場合、学術会議がやろうとしているが、政策のための科学が一番いい入り口になっている。もう一方、緊急時の対応について、法的整備がなされないとダメだろう。精神論だけではとても動けない。そうしたことを含めて、政策のための科学でエビデンスを持って議論して頂きたい。(笠木)
・カナダでは、統計局の局長は国会指名である。内閣が変わっても変わらない。ものすごく権威がある。そういうことをやらないと、なかなか統計の独立性とか。(黒田主査)
(3)公募型研究開発プログラムについて
・事務局より資料8「公募型研究開発プログラム 実施状況及び今後のスケジュール」についての説明。
・やはりダブる。MOTが出てきたときの議論と。イノベーションに結びついてないと言われていて、散々議論して、マネジメントに問題があるということで、それで現在効果があったかどうか。考え方はだいぶ定着したが、今回は政策というもっと大きな次元での話。(有信)
・今回の提案は大学関係の方が多いと思うが、その場合は大学マネジメントの方もきちっとやっていただきたい(笑)。(森田)
・各年、3年程度やるが、初年度何が選ばれるかということが大事。(有本)
(4)国際フォーラム開催報告
・事務局より資料9「国際フォーラム『新たな政策形成プロセスの構築に向けて〜科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」の推進〜』開催報告」についての説明
(5)その他
・黒田主査より資料10「『科学投資の効果の測定:米国とEUの共通フレームワークの構築』ワークショップ出張報告」についての説明。
・アメリカ流では、多少問題があるとしても押し切ってしまう。(有信)
・プログラムを作っているのがNIH。DOEも関係している。30人のうち、1/3ぐらいがIT関係者。ちょっとうらやましい。(黒田主査)
・この間の原山さんも仰っていたが、あそこの軸の一つになってきている。若干アメリカと違ったスタンスを持っていて。日本としてうまく利用する姿勢が必要。(笠木)
・アメリカン・リインベストメントというのが入っているのにまったく気づいていない感じ。(黒田主査)
・この会議もジュリア・レーンが来るということのように、アンテナを立てておいて。中韓も関心を持っている。(有本)
・本件に関連した動き、SciSIPに関して、NISTEPが音頭を取って、JSTの科学技術情報、国立情報学研究所が集まって、これの受け皿、関係データベースをいかにヒモ付けして使いやすい形にするかということを当初からやっていて、最近はしょっちゅう一緒に集まって議論が進んでいる。日本国内も関係省庁の調整が進みつつある。またご報告差し上げたい。(斉藤)
・最後、これから推進するにあたって、成果をどう集約するか。(黒田主査)
・事務局より資料11「『科学技術イノベーション政策のための科学』における知見・成果の集約・構造化の検討状況」についての説明。
・まだまだ議論していかなければならない。(黒田主査)
・8月5日の準備検討会合の感想としては、研究・技術計画学会、公共政策学会、科学技術社会論学会などが動いているが、もっと大きな学会、経済とか、に広げていかなければならない。ネットワーク、プラットフォームを作るという意味で。(有本)
・またこの件に関して進捗を報告したい。最後、局長から。(黒田主査)
・回を追うごとに議論が深まっているなと。私自身は議論を追いきれなくて、もう少しどこかで勉強して追いつきたい。プログラムの性格上、非常に多面的な観察が必要な気がしていて、インターナショナルなセッティングで共通の話題で議論できること。日本の特殊の文脈で議論しなければならないこと。たぶんそれが、ある種のバイリンガルな人材が必要。その人材育成拠点といっても、総合的な拠点というものもあるのかもしれないが、いろんな分野分野で特色があるような拠点があちこちにある状況が全体にあるものが、拠点をネットワークで形成するというイメージで、人材を育てる人材を育てるところからやらなければということで、問題がいろいろあるなあと。われわれとしても一生懸命考えていきたい。(合田局長)
・今後のスケジュール。(黒田主査)
・ 山下:いただいたご議論、もう一度ご相談させて頂いて、公募については8月。少し進めていく形をとりたい。次回の委員会については、10月頭を予定させて頂きたい。
・事務局より異動のお知らせとして、斉藤の後任として山下が政策科学室に着任した。
(1)基盤的研究・人材育成拠点について
・前回、頂いたコメントを事務局と検討して、審査にあたっての考え方などについて案を作ってみた。(黒田)
・前回、推進委員会で公募に関してご指摘を頂いた。資料1はご指摘頂いた項目のうち、三点にまとめた。1. 人材育成拠点における研究、教育の方向性について。2. 推進委員会と大学との関係について。3. 今後のスケジュールについて。拠点整備委員会(仮称)の設置。(斉藤)
・事務局と相当議論して作ったものであるが、いくつか補足をさせていただく。一点目。政策のための科学というものが、既にでき上がったようなディシプリンにはまだまだなっていないという認識を持っている。諸外国を見ても、そうしたところで鍛えられる人材は喫緊の課題となっているが、そうした人材を教育プログラムで作っていくようなところになっているか。諸外国においても時間をかけて作っていかなければならない状況。シングルディシプリンにはなっていないものの、対処しなければならないもの。日本が本当に科学技術イノベーションに対して科学的にやっていたのか。どういう科学性を主張するのか、このプログラムの中でブラッシュアップを重ねていかないと。資料3-2にいくつかのポンチ絵がある。3-2の2ページ目。自然科学と人文社会科学が融合した形で、実践に行くところまでやる。三番目として、いろんなステークホルダーが合意形成、社会システムの変革まで行う。四番目として学融合的なカリキュラムを持つ。産官学、行政の枠を超えたネットワークを形成する。そうした拠点形成をいかにやっていくか。5ページ。人材に必要な能力。ある種のスパイラルがうまく循環して、良くなっていくことが期待される。人材育成の能力として、客観的根拠の抽出、理論化・モデル化。課題の発見・設定。政策立案。政策決定。実施。それを一般的に書いたのが人材育成の内容。プログラムのイメージは、総合拠点と、領域開拓拠点。それらをネットワークで結ぶ。整備していくときにアドミッションポリシーをどうするか、ディプロマのポリシーをどうするか。そういうことを柱において推進委員会としてはプログラム提案を審査していく。ディプロマのイメージは10ページ。総合拠点と描かれているところ。総合拠点は既に政策の科学にふさわしいディプロマを持ったところ。そこにもう一つプログラムを付け加える。もう一方の役割として、開拓拠点。共同プログラムの運用は総合拠点に任せるばかりでなく、運営協議会を通して行う。領域開拓拠点のディプロマに関して、例1、例2のようなあり方が例えば考えられる。例1は、ある領域に特化して、既にある博士号まで持っていて、そこにSciSIPを追加して頂く。それとともに、領域の外にある学部・学科・研究科等々に対してプログラムを追加して、ある種のサーティフィケート、副専攻を得る可能性。例2は拠点として、はっきりとした学位の形を持っていない場合は、共通のセンター方式でプログラムを持って、それぞれの専門を持ちながらサーティフィケートを受けるというものもあるかもしれない。14ページ。運営協議会を形成し、共同プログラムを運用していく。また単位の互換など。最後のページ。CRDSの吉川センター長が提示されたもの。観察型科学者、それに対して構成型科学者、その中から合意形成を経ながら行動者。このサイクル、スパイラルを昇るような形で、これ全体を推進委員会がマネージしていく。資料3-1、8-9ページ。ヒアリングの後、拠点構成大学を決定し、拠点構成大学以外でも、参加候補大学として全体構造への参画を求める場合がある。来年1-3月の間、議論に参加して頂いて、「拠点整備委員会(仮称)」、そのなかで日本の全体的な構成に資するような形でやっていったらどうか。新しい年度24年度から参加する構成大学、参加大学が「運営協議会(仮称)」を合同で設置する。(黒田主査)
・これが進展していったとき、これ自体を測る必要がある。科学がどれだけ進歩したか、人がどれだけ入ったか。政策のための科学を進化させたということは、自然科学で言うピアレビューが必要。ある種の科学の分野のプラットフォームができて、もう一方で、研究者自身の業績が形作られるし、学位にもなる。政策のための科学のプラットフォームがないのであれば、それを作っていく努力を相当しないと。私の関わるところにエネルギー経済という分野があって、関係者にヒアリングをしたが、エネルギー経済モデルをやっておられる方は、経済でもエネルギーでもはじっこのところにいる。結果として研究者として広がっていかない。根になっている学問分野がないところで、政策のための科学として進んでいったときに測れるのかどうか。それをどうやってやるか。話が具体的になってきたので、現状をお伺いしたい。(笠木)
・なかなか難しい問題。自分も経済の中ではエネルギーとか環境をやっているのではしっこの方。ある意味エネルギーは生産要素。労働、資本とか同じレベルで捉えれば、はしっこではなくて根幹。ただ難しいのはエネルギーは科学技術と密接に結びついている。その接点は今までの科学技術と弱かったために経済学として進化させられない。一つの体系になってきたとき、自然科学と人文科学の一つの接点として、何か評価できるようにしていかなければならない。この分野の一つの課題。拠点形成の中でやっていかないと。その意味でネットワークの重要性や、ピアレビューや、学会を作るということになる。自然科学と人文科学が一緒になって評価できるように。政策のための科学は科学で終わってしまってはいけなくて、インプリメントしてイノベーションにつながるようなものにしないといけない。アメリカははっきりと科学をやると言っている。まず科学がどんなものか分かっていないと言っている。STARMETRICSもその一環。(黒田主査)
・当面、どういうプラットフォームがあるのか。(笠木)
・前回、桑原さんも仰っていたが、企業サイドで研究開発の投入をするにあたってどういうディシジョンをするか。どういう技術をベースにするか、一つ、その流れとしてMOTがある。研究・技術計画学会などが携わっているが、ただ、学会として公に認知されているとは言い難い。研究・技術計画学会では企業における事例とか、大学などかなりブロードな範囲でやっているが。そういうプラットフォームを作る努力をやらないといけない。そのときにサイエンスというところのディシプリンをきちんとやるときに、ベースとなるディシプリンをどう決めるか。文理融合といってもサイエンスの方法論が違うから、根底ディシプリンがなかなかできない。(有信)
・そういうところで方針をきちっと持っておかないと、この中で「研究者を育てる」とあるので、研究者コミュニティの中で肩身の狭い思いをする。(笠木)
・肩身の狭い領域にするかしないかは、今までのディシプリンの科学がこれをどう評価するかにかかっている。そこは交流して、シングルディシプリンの力を借りなければならない。どこまで科学者自身が自覚をするか。それが科学者のキュリオシティでもある。(黒田主査)
・一方で、ブリッジ、サポートをする予算、制度を作っていかないと、いつまで経っても精神論になってしまう。その意味で今年の予算に欠陥がある。4つのディシプリンはあるが、それをブリッジするようなフェローシップなどがない。危機感がある。来年は概算要求に入れる。とにかくハードだけ、公共事業のようなところがある。今日は文科省の幹部もいるので。(有本)
・会社で使われるときには、どのディシプリンかは関係ない。たとえば売るものを作るのは、社会で受け入れることが重要であって、単一か共通のディシプリンかは関係ない。逆に言うと、アメリカでサイエンスというと心配ないが、日本でサイエンスというと元に戻ってしまう。できあがったものをきちっと評価できるかどうか。できたロボットが評価されるようなことにしないと。個々の技術は目新しくないが、組み合わせる場合に新しいということもある。構成的に作り出されたものを評価する、そういうディシプリン、設計科学的なものの見方を明確にしていかないと。有本さんが仰ったような活動、人文科学の方法論には近い。(有信)
・人材育成の拠点というのは、あくまでも研究者を育てる人材ということか。ハーバードのスクールでは、ほとんどのところは研究者養成がない。ポリシーメーカー、実務者を育てる。サイエンスというのは純粋な自然科学とは違う。研究者を育てるとすると大変な話になるが、科学的な知見を政策の中に実装する。実装の担い手となる実務家とすると、人材のイメージが変わってくる。そのへんはどうなのか。(森田)
・育成すべき人材像としては、おそらく二つある。イノベーションまで結びつけるインプリメンテーションする人材、片方で、ある種の科学として確立しようという科学者もいてもいいし、たぶんいなければいけない。(黒田主査)
・純粋な研究者を育てようとすると、大学院などは小さくてもいい。そうでないとして大きくして、キャリアをどうするか。ベースとなるような能力を持った集団を作るということか。あまりリジッドなディシプリンでなく、総合医のような人材をつくることも大事。(森田)
・それを認めた上でプラットフォームを作る。(笠木)
・日本でも公共政策学会があるが、いろんなディシプリンの人がいろんなことを言っている。震災対応などでも実務をやることは意味がある。(森田)
・日本の自然科学系の学会の問題でもあるから、そういうところも変わっていかなければならない。(有信)
・医学というのは、実験のできない学問だと思っていたが、今は、実験もできるし、臨床もできる。経済学はそこまで行っていない。(黒田主査)
・繰り返しになるが、分子生物学会でもこういう議論をするのは端パイである。経済学会、機械学会でも同じようなところだと思う。そういうのをサポートするプログラムがちょっとでもあるといい。(有本)
・その意味ではアメリカの方がプラグマティック。(黒田主査)
・前回、助走期間と申し上げたのが、取り入れられて良かったと思う。大学と一緒に作り上げていくというのは今までなく、いい例だろう。(郷)
・選考というのはこの分野が成熟した段階で出てくるんだろうと思う。(黒田主査)
・やはり政策評価というようなことをしていかないと、成果が分からない。ただ日本の中で政策評価が本当にやれるのだろうか。イギリスやアメリカはわりと平気でやる。それがちゃんとできるような体制にならないと、発展性がないなと。(有信)
・政策評価については委員もやっているが、方法論的に確立されていないところと、過剰な期待がされているところがある。現実は膨大な量のペーパーワーク。その結果、ほどほどにいい、というものになる。有効になっていない。GAOなどは方法論をきちっとやっているが、事業仕分けみたいなもの。文科省に言っていいのか分からないが、大学評価も徒労が多い。評価はあまり期待をすると、却って悪い結果になる。(森田)
・経済に関わる評価は、雇用。その点に絞ってどう効果があったか、日本でもやるだろうし、やりようはあるのだろう。(黒田主査)
・事後的にはあるが、レギュラトリーインパクトアセスメントなど事前的にできるか。仮定を置くところは政治的なもの。そこでどう合意を作っていくかというところまで入れていかないと。(森田)
・そういうところまで含めて回すということ。(黒田主査)
・プロセスをきちっと、ということで、いいのだけれども、一方で、申請する大学は学長名で出す。その後、再構成する。個別の大学から出たものをどれだけやるのか。採択されなかった大学から「おかしい」という声が出かねない。全体としてはいいが。(有本)
・12月の時点で推進委員会が総合拠点と、領域の拠点について選ぶ。ただ、それぞれのプログラムの提案として、選ばれなかったがいいアイデアを持ったものをピックアップして、その方を含めてプロセスの中に入って頂いて、どう活かすか。それをやらないとネットワークが広がらないのではないかと思う。(黒田主査)
・一回しか公募しないという意味で、相当うまくやらないと。(有本)
・整備方針と公募要領という形でまとめさせて頂いて、一応公募の段階で審査はこういうふうにやるというのを詰めて、内容としてはどういうアドミッションポリシー、ディプロマをどう考えているか、実効性、費用の使い方、実施などいくつかポイントはあるが。第4回、審査に入るときにこの委員会でもう少し精査して、そのへんはもう一度議論の機会があるだろう。(黒田主査)
・お願いとして、育成した人材がどういったマーケットでニーズがあるのか想定しているか。インターンとか前に議論があったが、マーケットの方に合わせたカスタマイズもあるのかなと。一方的にサプライサイドでいいものを作っても仕方がないので、各大学で配慮して頂きたいと。(森田)
・「修了生のキャリアパスを担保して」ということを「大学の中で」と書いている。(黒田主査)
・まだ日本の場合はポテンシャル。そこのところを開拓して、ということになるだろう。(森田)
・よろしければ私にまとめさせて頂くということでよろしいか。スケジュール的にはお盆開けぐらいになるか。メール等で了解を得て、それが終わってから公募にかかる。(黒田主査)
(2)「大震災対応」に係る取組の進捗状況について
・CRDSより資料7「CRDSにおける『大震災対応』に係る取組の進捗状況」について説明。
・ちょっと補足。特に科学的助言のあり方というのは、科学技術政策のための科学、CRDSも海外調査したり、政策提言にまとめる過程で、この活動はクライアントの多くが政治家や中央政府になるので、そこに行動規範がないと危ういということで、調査をしてきた。2ページ目にあるのは民主党のもの、どうやるのかサイエンティストのガバナンスについて推進調査会が言っていること。これにはいい意味もあるし、ここまで政治家が関心を持ってしまっているので危険なところもある。上手にボトムアップ的にやらないと空回りする。気をつけながらやっている。IPCCもデータのハンドリングでおかしいことをやって、未だにNatureが厳しく指弾している。国連総長まで出てきて、変えると言っている。各国ガイドラインを出して、政府が出したり学会が出したりしている。そういうのを踏まえながらしっかり取り組んでいきたい。(有本)
・ここで言っている規範というのは、従来あるものを調査しているのか。(有信)
・二つある。ホルドレンのところで作って、NOAA。イギリスはベディントン、とは別に緊急のものがある。(有本)
・もともと科学者が持っているものだろう。政治は?(有信)
・民主党にしても、政治はそういうことを言っているだけで、政治側から作ると言っているのではない。(有本)
・アメリカではもともとそういうことがやられていて、日本でも笠木さんなど各学会で倫理規定などを作っている。政治との関わりというところは意識していない。(有信)
・私どもが調べた範囲ではそこまでカバーしていない。(有本)
・今回の大震災・原発事故以降、政府、行政、と科学者、メディアと科学者、の関係について、不具合がたくさん出てきた。科学者がいろんな場面で違ったことを言って却って不安を煽ってしまった。学術会議としても主体的に取り組むべきだと申し上げてきて、ちょうど昨日、今日、第3部会で取り上げましょうということになった。たまたま緊急時のなかで、科学と行政、政府の関係が浮き彫りになったが、実はこれ平時においてもまったく同じ。平時のものが緊急時にもできる必要がある。きちっとした科学者の役割、科学者と行政の関係を整理する必要がある。日本の場合、学術会議がやろうとしているが、政策のための科学が一番いい入り口になっている。もう一方、緊急時の対応について、法的整備がなされないとダメだろう。精神論だけではとても動けない。そうしたことを含めて、政策のための科学でエビデンスを持って議論して頂きたい。(笠木)
・カナダでは、統計局の局長は国会指名である。内閣が変わっても変わらない。ものすごく権威がある。そういうことをやらないと、なかなか統計の独立性とか。(黒田主査)
(3)公募型研究開発プログラムについて
・事務局より資料8「公募型研究開発プログラム 実施状況及び今後のスケジュール」についての説明。
・やはりダブる。MOTが出てきたときの議論と。イノベーションに結びついてないと言われていて、散々議論して、マネジメントに問題があるということで、それで現在効果があったかどうか。考え方はだいぶ定着したが、今回は政策というもっと大きな次元での話。(有信)
・今回の提案は大学関係の方が多いと思うが、その場合は大学マネジメントの方もきちっとやっていただきたい(笑)。(森田)
・各年、3年程度やるが、初年度何が選ばれるかということが大事。(有本)
(4)国際フォーラム開催報告
・事務局より資料9「国際フォーラム『新たな政策形成プロセスの構築に向けて〜科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」の推進〜』開催報告」についての説明
(5)その他
・黒田主査より資料10「『科学投資の効果の測定:米国とEUの共通フレームワークの構築』ワークショップ出張報告」についての説明。
・アメリカ流では、多少問題があるとしても押し切ってしまう。(有信)
・プログラムを作っているのがNIH。DOEも関係している。30人のうち、1/3ぐらいがIT関係者。ちょっとうらやましい。(黒田主査)
・この間の原山さんも仰っていたが、あそこの軸の一つになってきている。若干アメリカと違ったスタンスを持っていて。日本としてうまく利用する姿勢が必要。(笠木)
・アメリカン・リインベストメントというのが入っているのにまったく気づいていない感じ。(黒田主査)
・この会議もジュリア・レーンが来るということのように、アンテナを立てておいて。中韓も関心を持っている。(有本)
・本件に関連した動き、SciSIPに関して、NISTEPが音頭を取って、JSTの科学技術情報、国立情報学研究所が集まって、これの受け皿、関係データベースをいかにヒモ付けして使いやすい形にするかということを当初からやっていて、最近はしょっちゅう一緒に集まって議論が進んでいる。日本国内も関係省庁の調整が進みつつある。またご報告差し上げたい。(斉藤)
・最後、これから推進するにあたって、成果をどう集約するか。(黒田主査)
・事務局より資料11「『科学技術イノベーション政策のための科学』における知見・成果の集約・構造化の検討状況」についての説明。
・まだまだ議論していかなければならない。(黒田主査)
・8月5日の準備検討会合の感想としては、研究・技術計画学会、公共政策学会、科学技術社会論学会などが動いているが、もっと大きな学会、経済とか、に広げていかなければならない。ネットワーク、プラットフォームを作るという意味で。(有本)
・またこの件に関して進捗を報告したい。最後、局長から。(黒田主査)
・回を追うごとに議論が深まっているなと。私自身は議論を追いきれなくて、もう少しどこかで勉強して追いつきたい。プログラムの性格上、非常に多面的な観察が必要な気がしていて、インターナショナルなセッティングで共通の話題で議論できること。日本の特殊の文脈で議論しなければならないこと。たぶんそれが、ある種のバイリンガルな人材が必要。その人材育成拠点といっても、総合的な拠点というものもあるのかもしれないが、いろんな分野分野で特色があるような拠点があちこちにある状況が全体にあるものが、拠点をネットワークで形成するというイメージで、人材を育てる人材を育てるところからやらなければということで、問題がいろいろあるなあと。われわれとしても一生懸命考えていきたい。(合田局長)
・今後のスケジュール。(黒田主査)
・ 山下:いただいたご議論、もう一度ご相談させて頂いて、公募については8月。少し進めていく形をとりたい。次回の委員会については、10月頭を予定させて頂きたい。
文責・吉澤剛