「テクノロジーアセスメント」セミナー参加報告
5月28日(金)に東京大学駒場で開かれた「テクノロジーアセスメント」セミナーに参加し、発表とディスカッションを行ってきました。
セミナーではまず「I2TAのこれまでとこれから」と題し、TAの紹介、I2TAの活動および今後の展望、TAと科学コミュニケーションとの関わりを含めて発表させていただきました。
吉澤剛・古屋絢子「I2TAのこれまでとこれから」2010年5月28日。
次に東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」(UTCP)の吉田敬さんより、「『脳科学と倫理』から『科学技術と社会』へ UTCPの新たな試み」と題した発表がありました。2007年度冬学期から2009年度冬学期まで2年半にわたり活動した「脳科学と倫理」プログラムを簡単に振り返り、脳科学によって開発された技術が引き起こす倫理的問題や、脳科学による人間観の変更の可能性が哲学的・倫理的に持つ意味、脳科学の発展に伴う倫理の自然化とその帰結、といった脳神経倫理学の探究が紹介されました。これを踏まえて2010年度夏学期から2011年度冬学期までの2年間の活動を予定している「科学技術と社会」プログラムでは、「こまば脳カフェ」を含む脳神経倫理学を引き続き扱うとともに、ロボエシックス、発達障害研究と社会、そして参加型テクノロジーアセスメントを中心的なテーマとしています。
続いて、科学技術インタープリター養成プログラムの草深美奈子さんより「科学技術インタープリター養成プログラムの取り組み」という発表がなされました。このプログラムは文理問わず大学院生を対象とした副専攻プログラムであり、2005年から行われています。これまで5年間で32名の修了生を数えます。少数精鋭の修了生が核(触媒)となり、科学技術を伝える活動が全国に広がっていくことが期待されています。このプログラムは、科学技術の「何を伝えるか、どう伝えるか」をキーワードに、特に「何を伝えるか」、また「正しく伝えるとはどういうことか」を掘り下げる点が特徴です。「インタープリター」という用語をあえて使用しているのは、一度自分で咀嚼し消化してから発信するという意味を込めているためです。
ディスカッションに入る前に、I2TAの古屋絢子特任研究員より、自己紹介を兼ねてTAと科学コミュニケーションの両方の活動に関わってきた経験に基づく知見が述べられ、参加者に対して議論において重要となるであろうポイントがいくつか提示されました。
ディスカッションでは、まずUTCPの「科学技術と社会」プログラムで「哲学・倫理学・歴史の観点から総合的に捉える」と謳われていることに対し、吉田さんから社会学が入っていないことに疑問が呈されました。これに対し、当プログラム責任者である石原孝二さんより、これまでの経緯や関わる人材を考慮してあえて外しており、また、それによって他の類似プログラムとの棲み分けを図っているとの回答がなされました。
その後、参加者それぞれの簡単な自己紹介を行い、セミナーの感想や議論したい点などが挙げられました。以下は主なコメントと論点です。
セミナーではまず「I2TAのこれまでとこれから」と題し、TAの紹介、I2TAの活動および今後の展望、TAと科学コミュニケーションとの関わりを含めて発表させていただきました。
吉澤剛・古屋絢子「I2TAのこれまでとこれから」2010年5月28日。
次に東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」(UTCP)の吉田敬さんより、「『脳科学と倫理』から『科学技術と社会』へ UTCPの新たな試み」と題した発表がありました。2007年度冬学期から2009年度冬学期まで2年半にわたり活動した「脳科学と倫理」プログラムを簡単に振り返り、脳科学によって開発された技術が引き起こす倫理的問題や、脳科学による人間観の変更の可能性が哲学的・倫理的に持つ意味、脳科学の発展に伴う倫理の自然化とその帰結、といった脳神経倫理学の探究が紹介されました。これを踏まえて2010年度夏学期から2011年度冬学期までの2年間の活動を予定している「科学技術と社会」プログラムでは、「こまば脳カフェ」を含む脳神経倫理学を引き続き扱うとともに、ロボエシックス、発達障害研究と社会、そして参加型テクノロジーアセスメントを中心的なテーマとしています。
続いて、科学技術インタープリター養成プログラムの草深美奈子さんより「科学技術インタープリター養成プログラムの取り組み」という発表がなされました。このプログラムは文理問わず大学院生を対象とした副専攻プログラムであり、2005年から行われています。これまで5年間で32名の修了生を数えます。少数精鋭の修了生が核(触媒)となり、科学技術を伝える活動が全国に広がっていくことが期待されています。このプログラムは、科学技術の「何を伝えるか、どう伝えるか」をキーワードに、特に「何を伝えるか」、また「正しく伝えるとはどういうことか」を掘り下げる点が特徴です。「インタープリター」という用語をあえて使用しているのは、一度自分で咀嚼し消化してから発信するという意味を込めているためです。
ディスカッションに入る前に、I2TAの古屋絢子特任研究員より、自己紹介を兼ねてTAと科学コミュニケーションの両方の活動に関わってきた経験に基づく知見が述べられ、参加者に対して議論において重要となるであろうポイントがいくつか提示されました。
ディスカッションでは、まずUTCPの「科学技術と社会」プログラムで「哲学・倫理学・歴史の観点から総合的に捉える」と謳われていることに対し、吉田さんから社会学が入っていないことに疑問が呈されました。これに対し、当プログラム責任者である石原孝二さんより、これまでの経緯や関わる人材を考慮してあえて外しており、また、それによって他の類似プログラムとの棲み分けを図っているとの回答がなされました。
その後、参加者それぞれの簡単な自己紹介を行い、セミナーの感想や議論したい点などが挙げられました。以下は主なコメントと論点です。
- 技術の流れが速すぎるのに大学での活動がそれに追いついていないのではないか。
- UTCPのプログラムで「哲学・倫理学・歴史の観点」とするならば、技術や社会の速い流れに対応するのとは一線を画する活動だろう。だが、一方で参加型 TAとして喫緊の課題である原子力を扱うのは矛盾しないか。
- ジャーナリズムによる技術の語り方を評価してみてはどうか。
- 科学コミュニケーターは、サイエンスカフェやサイエンスアゴラといったイベントをどうするかではなく、何を伝えなければならないかを考えなければならない。
- 科学コミュニケーションには、東大で進めているような研究者の核となるような人材によって行うものと、一般の研究者が誰でもスキルとして身につけているべきものがあり、それらを区別する必要があるだろう。
- 科学コミュニケーターは何を目指しているのか。研究者自身がやれば良いのではないか。コミュニティがどんどん閉じている方向にあるのでは。
- 高校の先生は前からインタープリターを行っているわけで、そうした観点もあると良い。
最後に、今回のセミナー開催にあたってお世話になりましたUTCPおよび科学技術インタープリター養成プログラムの関係者の皆様にはこの場を借りてお礼申し上げます。
文責・吉澤剛